森で過ごす静かな時間~グランピングリゾート「星のや富士」<後編>
冬グランピングも楽しめる日本初のグランピングリゾート「星のや富士」。12月に宿泊体験をしたレポートの後編です。森の中でどんな過ごし方ができるのか、数多くのアクティビティや企画が用意されている中、ごく一部ではありますが、紹介をいたします。
INDEX
■前編- <アクセス>車なら河口湖ICから約20分/高速バス・鉄道でも
- <施設1>湖畔のレセプションからジープで移動
- <施設2>河口湖が目の前に展開する広々テラス付キャビン
- <施設3>森の中で過ごす時間~冬の森に囲まれたクラウドテラス
<過ごし方1>ホットドリンクに焚火~好きなスタイルでくつろぎの午後を
広い敷地内は趣も異なる心地良いスポットだらけで、「どこで何をして過ごそうか」そう迷ってしまう人も多いことでしょう。 悩んだらエリアマップをチェック。 右端に「森のひととき」「薪割り」など宿泊者が参加できるサービスや体験のスケジュールが書かれています。
チェックインから夕方日没前までは、クラウドデッキ最上部、ライブラリーカフェ前で「森のひととき」が開催されます。温められているポットの中身はホットチョコレート。 ホワイトチョコ&ブラックチョコを溶かした濃厚ドリンクです。
丸いかわいらしいカップに注いでもらったら、自分だけのオリジナルトッピングに挑戦。 スライスアーモンドやウイスキー、ドライフルーツをクラッシュしたものなど用意されているトッピングアイテムは多種。
悩んでいたらグランピングマスターがやってきて、おススメを教えてくれました。それはなんと、ホワイトチョコにひとつまみの赤唐辛子粉末、そしてドライストロベリーを散らすという斬新な組み合わせ。「チョコに唐辛子!?」と実は懐疑的でしたがごめんなさい。試してみたら、ピリッとした刺激がホワイトチョコをさらに引き立ててくれ美味。これは自宅でも試してみたい味です。
ちなみに「グランピングマスター」とはここ星のや富士のスタッフのこと。 アクティビティのガイド役を務めてくれる他、敷地内で過ごしている間も、森の中の生活をより楽しむための様々な提案をしてくれます。
ライブラリーカフェの中にも自由に飲めるドリンクがいろいろと用意されています。 珈琲はカプセルドリップ方式。
屋外のテーブルにガラスの瓶や鍋がデコレートされていたので近付いてみると、大きな瓶の中身は白いマシュマロ。その横には長い竹串。 そう、「スモア」こと焼きマシュマロのための一式なんです。 赤いホーロー鍋の中身はクラッカー、手前には小さなキューブチョコレートも並べられていました。
「スモア楽しいんだけど、よく焦がしちゃうんですよ」
串に刺したマシュマロを焼きながらそう話すと、焚火台に薪をくべていたグランピングマスターの女性が「ちょっとしたコツがあるんですよ」とチャーミングな笑顔でお手本を見せてくれました。
私の毎回の失敗は、焚火の焔に直接マシュマロをかざしてしまっていたこと。それだとマシュマロに火が移って失敗してしまうことも。そうではなく、熾火(おきび)、つまり焔はあがっていないけど内側に火を籠めて燃えている薪に近付けてゆっくり炙るのが、こんがりと色づかせ、中はとろり食感のマシュマロを作るポイントなのだと。
ほんのりベージュ色に変化したマシュマロとチョコレートをクラッカーで挟むと、溶けかかったマシュマロがつぶれてクリームサンド状態に。ティータイムの自作おやつが完成です。 自分で作るとなぜか美味しい♪
<過ごし方2>森の中ならではの体験いろいろ~燻製づくり&薪割りにも挑戦!
暖かいドリンクを飲みながら読書などして、ゆったりと流れる森時間をのんびり楽しむもよし、あるいはここでなくてはできないことに挑戦してみるのもいいでしょう。
星のや富士では、さまざまなアクティビティが用意されています。 たとえばそのひとつが「燻製づくり」。
ここ数年のアウトドアブームで挑戦する人も多い燻製づくり。 家庭用に煙の出ない手作り燻製家電や鍋なども発売されていますが、やはりスモーカーから漏れ出る香ばしい煙に胸弾ませながら待つのが燻製づくりの醍醐味ですよね。
ここでは燻製づくり初めての人でも 、グランピングマスターに教わりながら、本格的な燻製づくりを体験することができます。お子さんと一緒に燻製づくりを楽しんでいる家族連れもいらっしゃいました。 出来上がった燻製は、夜の焚き火BARで好きなウイスキーと合わせていただいてもいいそうです。
冬季はお休みですが、「森の空中ストレッチ」も気持ちよさそうです。 木立の間で呼吸を整えながら身体を動かせば、森林浴も一緒にできちゃいますね。
私が体験させてもらったのは薪割り。もちろん初挑戦です。実は薪を割っている風景を生で見たことすらありませんでした。
なのでまずはグランピングマスターに実演してもらいます。 斧の持ち方、構える角度、姿勢など解説しながら振り下ろした瞬間、太い薪が中央からきれいに半分に割れ左右にぽんと飛び出す。高らかな音も響き渡りました。
これは気持ちよさそう!!!
さあ、お次は私の番です。うまくいくかな!?
斧の刃が、薪にあたる瞬間のポイントで地面と水平になるような角度でまっすぐ振り下ろすことがポイントだそうです。 ヒットの瞬間の角度どころか、そもそも薪に刃が当たらないんじゃないか。まあ外したら「今のは練習です」といって笑い飛ばそうと決めて勢いよく振り下ろしたところ・・・
自分お見事! 一発で割れました!しかもかなり勢いよく。 いやー、これは想像していた以上に爽快。 より安定して薪割りができるよう、薪を押さえこむ補助道具も用意されており、小学生くらいのお子さんも夢中で薪割り体験をしていました。
<過ごし方3>夜の森でコタツ三昧!無声映画にボードゲーム
クラウドテラスには、タープ下の寝袋付リクライニングベッド、揺ら揺らゆれるユニークなドロップ形のチェア、焚火をぐるり囲む椅子など、趣も異なるバリエーション豊かな空間が作られています。しばし渡り歩きながら、居心地がいい場所を探索してみるのも楽しいもの。
陽が沈み照明がともされると、それぞれの空間はまた大きな変化を遂げます。
昼間から絶え間なく薪がくべられていた焚火ですが、森が闇に包まれる夜がやはり本番。焔はなぜこんなにも目を引き付けるのでしょう。生きているかのように激しく揺らめく焚火から目が離せなくなってしまいます。
そんな中、自分がどこよりも気に入った場所はやはりここ。 「木漏れ日デッキ」です。 夜には林の中に吊るされたスクリーンで無声映画が上映され、ホットカクテルなどの飲み物がカウンターで提供されています。
これは昼間にスタッフの方に撮影してもらった一枚。 冬の時期、コタツに身をうずめミカン食べながらテレビを見ていると、トイレに立つのも億劫になるほど快適だったりします。
ここではそんな「快適すぎて危険なコタツワールド」をいやというほど堪能できるはずです。
そして夕陽タイムは短く、あっという間に辺りは真っ暗に。 スタッフの方がランタンをもってきてくれました。
夜には「冬の森ごもりラウンジ」が開催されます。
片隅に設置されたテーブルの上にはウイスキーのボトル。 スタッフの方がウイスキー入りのアイリッシュ珈琲を作ってくれました。
樹々の間に吊るされたスクリーンに映し出される無声映画。
各コタツの上にはそれぞれ種類の違うボードゲームが置かれていました。 私の座ったコタツには、丸や四角で色も高さも違う積み木状の木が並べられたボードが。見るのも初めてなら名前すら知らないゲームなのでただ眺めていたのですが、「よかったら一緒にやってみませんか?」 とスタッフ女性。対戦相手になってくれました。
このゲーム、「QUARTO!(クアルト)」という名前で世界的にも非常に人気の高いボードゲームなのだとか。木の柱を小さな円の中に交互に置いていき、色もしくは高さ、形、穴の有無など共通の柱を4本、縦横斜めに先に並べられたほうが勝ちとなります。 ルール簡単なので、初めての自分でもすぐプレイできましたが、始めてすぐその奥深さに気付かされました。相手に先に並べられないように置くのは結構頭を使う! 短時間遊んだだけではまってしまいました。 あとでこれ買っちゃうかも。
日没直後の風景です。 照明はあえておさえめで、低い位置から小道を照らす程度の最小限に。さらに高くへあがっていくにつれ柔らかい光になるようデザインされているそうです。
パブリックエリアでは、星のやのホスピタリティを光でも感じていただける様にと考えました。ゲストを最初にお迎えするレセプションから、キャビン、ダイニング、丘陵の最上部にあたるクラウドテラスへと向かうほど、光がだんだん優しくなるように変化させています。
●星のや富士公式サイト「照明設計」
周囲も暗い山の中。 星もくっきり明るく、冬の星座を久々にしっかり見ることができました。
日没から夕食時間までの間は、最上部の広いウッドデッキで「冬色アペロ」。
ディナーまでの時間に食前酒を楽しむ企画で、温めた梅酒にシナモンや果物などを甘く漬けこんだものを入れていただきます。甘い物は身体をしっかり温めてくれます。
夜は焚き火BAR。 白州や響きなど和ウイスキーも用意されており、焚き火ラウンジやライブラリーカフェの中などで静かな大人の時間。
昼間マシュマロなどが置かれていた場所には、引き続きチョコやナッツなどが。 ウイスキーに合わせてもよし、珈琲と一緒でも美味しくいただけます。
ライトアップされたタープ下も落ち着ける空間です。
チェアには電気毛布が用意され、もう一段下のリクライニングベッドでは、寝袋にすっぽり入ってくつろぐことも。 夜は少々冷え込みますが、この場所は人気で、若いカップルや女性同士の宿泊客が、寝袋にすっぽり入って寝ころんだまま、旅行話などで盛り上がっていました。
<ディナー>狩猟肉(ジビエ)を堪能するディナー
お楽しみのディナータイム。 星のや富士では、山梨ならではの「狩猟肉(ジビエ)」が食のテーマのひとつになっています。
食事は、ワイルドライフが好きなシェフが監修し演出を施したメニューです。野菜、狩猟肉(ジビエ)、ワインなど、地域の豊かな自然がもたらす食材を生かし、ダッチオーブンなどのこだわりの調理器具で仕上げます。お客様自身が手を動かし調理をする場面も随所にあり、アウトドアならではの、仲間と賑やかに料理をする楽しさ、風を感じながら食べる心地良さを提供しています。
●星のや富士公式サイト「食事」
山梨県は、森林面積が約78%を占める自然豊かな県ですが、一方でイノシシやシカなど野生動物による農作物被害も深刻。その対策のひとつに野生動物の捕獲があり、その肉をジビエとして有効活用してゆけるかどうかが今の大きな課題になっています。
星のや富士では、四季ごとにメニューを変えており、12月から3月中旬までは「冬の狩猟肉(ジビエ)ディナー」が提供されています。
冬は気温が低く、狩猟した肉の温度を急速に下げる事ができるため、肉を適切な温度で新鮮に保つ環境が整っています。冬の鹿は、木の皮やもみがらなどを主な飼料とし、脂が減る分、身が締まります。また、クセが少ないため、狩猟肉初心者にもおすすめです。さらに冬は、秋に収穫した狩猟肉を保存食にして楽しむ事ができる季節です。当ディナーでは、猪肉を秋から熟成させて作った、ベーコンやソーセージなどの保存食を活用します。
●星野リゾート公式サイト【星のや富士】冬の森でじっくりと味わう狩猟肉 「冬の狩猟肉(ジビエ)ディナー」提供開始|
今回私が体験したのは「冬の狩猟肉ディナー」。
会場はクラウドテラスからもキャビンのある草原エリアからもちょっと離れた斜面に作られた屋外の「フォレストキッチン」で、1日6組18名限定。
各テーブルにはグランピングマスターがついて、解説を加えながら料理を一品ずつだしてくれます。
メニューはこれ。
- スープ:猪ソーセージと冬野菜のスープ
- 温野菜:猪ベーコンと冬野菜のチーズフォンデュ
- 食事:鹿肉と干しキノコの炊き込みご飯
- メイン:鹿肉の赤ワイン煮込み
- デザート:いちごと餅のスキレットクレープ
写真は暗くてきちんと撮れなかったのでごく一部だけにします。やはりこういうディナーは「どんなお料理がでてくるんだろう」というサプライズ感も大事なスパイスですしね。
完成したお料理がでてくるのではなく、最後の仕上げはすべてテーブル上で自分たちで行うスタイル。グランピングマスターのサポートのもと、香草やスパイスを加えて加熱したり、鉄板の上でお肉や野菜を焼いて、同じくストーブで温めてとろけさせたカマンベールチーズに絡めていただいたり。
登場するお肉は、地元の猟師が仕留め新鮮なうちにさばいて最高の状態を保持した鹿やイノシシ肉。イノシシは秋に収穫して長期熟成したベーコンやソーセージなどで、生肉よりも旨味が凝縮されているとのこと。また鹿はエサが木の皮などになるため脂は減るものの、身が引き締まってクセもないため食べやすいのだそうです。
「きっとジビエの概念が変わりますよ」
そう事前に説明を受けていたのですが、確かに~!
元々抱いていた「噛みにくくて臭みがある」という印象は、今回いただいたお肉の、柔らかく力強い味わいにとって代わりました。
ダッチオーブンが運ばれてくるたびに、「蓋を開けると何がでてくるのだろう」と楽しみが連続するディナー。気温も低い屋外なだけに、熱々のものを最後まで美味しく食べてほしいということで、様々な工夫が凝らされています。皿も下から蒸気で加熱するものなどが登場していました。
このコースにはドリンクも含まれていて、各料理にあわせたワインや日本酒、ホットワインなどが登場します。お酒が飲めない人用にはノンアルコールも。
ゆっくり食べていたら、自分でも驚くほど満腹に。 でも甘いものは別腹です。これと正面で溶かしたバターが入ったスキレットでどんなデザートが完成したか、ちょっと想像してみてください♪
フォレストキッチンの脇にも焚火が設置されていました。 ディナーでお腹いっぱいになったので、移動前にここでちょっと一休み。
ざわざわと静かに揺れる樹々。 夜の森の中も幻想的です。
フォレストキッチンの他、広いメインダイニングもあり、こちらでは季節の食材を使ったグリル料理がいただけます。 またキャビンのテラスリビングでいただく「山麓の鹿しゃぶ鍋」も、1日6組限定ですが非常に人気のあるコースだそう。
食事の後は、ライブラリーカフェでミニコンサート「森の演奏会」。宿泊者であれば誰でも参加でき特に予約なども必要ありません。少し遅れて到着すると、薪ストーブで室内ぽかぽかのライブラリーカフェには既にたくさんの宿泊客が集まっていました。 奏者は日替わりのようで、この日は男性の演奏家。不思議なビブラートの響きが耳に心地よい初めて見る弦楽器でした。
<朝食>気分は湖畔ピクニック~テラスでいただく朝食
翌朝目覚めたら夜明け直前。稜線がじわりじわりと赤く染まってゆく神秘的な絶景が目の前に展開し、朝から大興奮でシャッターを切りまくってしまいました。
キャビンはほぼ真南を向いているため、夕陽だけでなく日の出も部屋から楽しめるのです。 珈琲を飲みながらしばしコタツからキラキラ輝く河口湖の風景を眺めていたら、インターフォンが鳴り、朝食とのこと。
扉を開けると、背負子を背負った笑顔の女性スタッフ。この背負子、 江戸時代からの富士登山において、登山者の荷物をかついで道案内役として同行した「強力(ごうりき)」達が使っていたものをイメージしたものだそう。
さらに釣り好きの方ならきっと「D」のロゴに目がいくことでしょう。 朝食のデリバリースタイルのテーマのもうひとつが、河口湖で楽しむ人も多い「釣り」。
朝食が収められたこの木製ボックスは、釣りのタックルボックスをイメージしたものだそうです。
ダッチオーブンで焼いたパン、ジャム類、スープなど解説してもらいました。地元の特産品も使ったヘルシーで美しい朝食。
ちなみに二人用の朝食だとこうなります。
このオムレツが美味しかった!
<アクティビティ>富士山&周辺一帯が舞台!富士樹海ツアーに参加
星のや富士では、敷地外でのアクティビティもたくさん用意されています。 富士山の麓での乗馬体験に河口湖でのカヌー、もちろん「富士登山」も。
富士登山はここ十年近く、あまりの人気の高まりから山小屋の過密状態なども指摘されています。登山ツアーバスも各地から出て気軽に挑戦できるようになりましたが、一生に何度も登るわけではない富士山。できればなるべく快適な環境で登山したいと考えている方も多いでしょう。
星のや富士が年に数回アレンジする登山ツアーのお話をちょっと伺ったのですが、正直ちょっとびっくりです。というのも・・・
一般的な山小屋は、大部屋での寝袋や、2段ベッドでの就寝が主流なのに対して、 プライベートが保たれる部屋を使用できることは珍しいことです。部屋にはマットレスをしつらえ、星のや富士と同じリネンでベッドメイクをします。また、夕食には星のや富士監修のビーフシチューを用意するなど、ホテルレベルのサービスを提供します。
●星野リゾート公式サイト【星のや富士】日本一の山で、日本一ラグジュアリーな登山を実現するプログラム 「グラマラス富士登山」今年も開催
山小屋でベッドメイクされたマットレス! ホテルレベルのディナー!
まさにラグジュアリーな富士登山!!!
今回私が参加したのは「樹海ネイチャーツアー」。
この日の参加者は自分と香港から旅行に来ているご夫婦が1組。 敷地内の集合地点からネイチャーガイドさんの運転で、樹海を目指します。進行方向には富士山。雲に遮られることもなく山頂までくっきりと美しいシルエットを見せてくれました。
富士山の麓・青木ヶ原樹海というと、「一度入ったら出てこれない迷宮の森」といったイメージをお持ちの方も多いでしょう。864年の貞観大噴火で流れだした溶岩が辺り一帯を覆いつくし、1200年という長い時を経てヒノキや赤松、ミズナラなどの原始林が形成されたところです。
土の層はまだ浅いため樹々は地中深く根を張ることはできず、見回すと倒木もたくさん。地面もぼこぼこ小さく盛り上がった場所がたくさんあり、通常の森林とは異なる独特の景観が広がっています。
ちなみに「方位磁針が狂い方向を見失う」という樹海伝説もありますが、実際は磁石はほとんどの場所で問題なく使うことができるそう。ガイドさんがそんな説明をしながら方位磁針を見せてくれました。
自然遊歩道が整備されているので、その道に沿って歩く分には特に危険はないエリアです。実際今回歩いている途中にも、他のネイチャーガイドツアーの方々や、新製品プロモーション撮影のために来ている一群ともすれ違いました(なぜかたまたま人が多かった時のようです)。
まず向かったのは国指定の天然記念物・竜宮洞穴。 樹海に多数存在する洞穴の中でも、比較的行きやすい場所です。
富士道者巡拝の霊場のひとつで、その昔は洞穴の中で修行も行われていた場所だそう。今は崩壊の危険性から入ってゆくことはできませんが、入り口には祠が作られていました。
マグマが流れでた場所はその後空洞となり、至る所にこうした「地面の割れ目」のような場所があり、固まった溶岩の上には緑色の苔がついていました。
溶岩の隙間には、姫ネズミなどがたくさん住み着いているそうです。本来であれば地面に穴を掘って巣にするところ、そうした苦労もせず天然の立派で快適な住まいが最初からある環境は、ネズミにとって最高なのだとか。
他にリスやコウモリなどもたくさん。リズミカルな高音が響き渡る木の上部をガイドさんが指さすと、そこにいたのはなんとキツツキ!生で見るのはもちろん皆初めてで、一同大興奮。望遠レンズ付きのカメラを持参しなかったことが悔やまれます。
行きに西湖で逆さ富士が見えたので、そこに立ち寄った時間も含め、ツアー行程全体は約2時間半ほど(樹海滞在は約1時間半)。冬の清涼な空気をたっぷり吸いながらの樹海散策は、程よい運動にもなりました。
再び車で星のや富士の敷地に戻って下りてから気付いたのですが、車のナンバーはなんと「37-76」。
この後、最後にもう一度クラウドテラスまで行って最後のお茶をし、フロントデスクの前からスタッフに見送られ送迎車で山を下りレセプションへ。ここで部屋から運んでもらった荷物を受け取ると、「下界に戻ってきてしまった」寂しさに包まれます。
ここに滞在することが主目的で海外から来日する人もいる星のや富士。森の中で過ごしたひとときは、 日常生活の中では決して味わえないような新鮮な体験と発見の連続で、ホスピタリティに満ちたスタッフの方々との話も楽しい思い出です。
ひとつ、とても興味深いデータが発表されています。
星のや富士が実施した顧客満足度データによると、冬の期間(12月1日~3月15日)に宿泊した人の約97.1%が「満足した」と回答。また、他の季節よりも満足度が高いことが分かりました。一般的に冬は、温泉やスノーアクティビティ、またインドアでの過ごし方が中心となり、キャンプ場やリゾート施設などのアウトドアで優雅に過ごすというイメージはありません。しかし、「アウトドアといえば夏!」「夏といえばアウトドア!」という概念をくつがえす結果になりました。
●星野リゾート公式サイト【星のや富士】 満足度97.1%!?冬のグランピングにブームの兆し~星のや富士 顧客満足度調査より~
冬ならではのアウトドア体験ができる星のや富士の冬グランピング。
キャビンのこたつでいただくジビエ鍋などの冬メニューも、3月中旬まで提供されています。興味ある方はぜひ、公式サイトをご覧ください。